梢子逍遥記

色々書く

シュタゲから見る医学関係の学際分野

医局でドクペ飲みながらシュタゲゼロを見てたら、

「そういえば昨日書いた記事に関連してネタになるなぁ」と気づき、今筆をとっています。

 

タイムマシンを巡り繰り広げられる科学ADVシリーズ、シュタインズ・ゲート、その続編であるシュタインズ・ゲートゼロのアニメは現在放映中です。

 

で、主人公のオカリン(と、その友人であるダル)が所属しているのは実在する東京電機大学です。

そしてシュタゲ全編を通じてのヒロインであるセレセブ・・・牧瀬紅莉栖はヴィクトル・コンドリア大学(こっちは架空)に飛び級で入学し、主に神経科学を研究しています。

シュタゲゼロの世界線では牧瀬女史が死亡しており、オカリンは厨二病を封じマトモな大学生になってたわけですね。で、ある日学会(おそらく脳神経科学系の国際学会)の手伝いで牧瀬女史の元先輩とその指導教官がアマデウスシステムを発表する現場に居合わせたとこからシュタゲゼロの展開が進むのですがそれはアニメなりゲームを見てください。

 

さて、ここで「なぜ医学系分野である脳神経科学系の学会に、医学部がない東京電機大の学生であるオカリンがいたのか」と疑問に感じた人はいないでしょうか。

今日の本題はこれです。

神経科学の研究に携わるのは医学部出身の研究者だけではありません。

神経には電気信号が走っているので電気系の研究者もいますし、

そもそもヒトという生物を扱っているので生物系の研究者もいます、

また脳波を測定する機器やプログラムを作る機械系の研究者や、数学・物理学的に研究する数学・物理系の研究者、

そしておそらく意外と思われるかもしれませんが心理学系の研究者もいます。

心理学って文系だと思われがちですが結局、どうしてそう考えるか、そう感じるかというのを突き詰めていくと脳について研究することになるのでバリバリ理系だったりします(特にモノをどう感じるかというのは認知心理学といわれそれ系の人は。もちろん文系文系してる人もいますけど)

 

とまぁ、1つの研究に対して色々な分野の研究者が集っているのがというのがアニメから垣間見えるよというお話でした。

 

ドクペは夏に飲むもんじゃないな。    医局にて こずえ

 

 

 

 

学問的多様性について~法学部と医学部を中心に~

医局に抑留されていると実験や書類作業の合間にボケーっとなんか考えることがあります。

というわけで(?)本日2度目の記事を書きました。

タイトルからわかるように今回はお勉強に関する話題なのでそういうのが無理な方は回れ右で。

 

まず、学問的多様性という言葉ですが、これは明確な用語ではなく、主に私が使っている言葉です。

意味としては「(主に大学生・大学院生が)勉強をする場合、自分の興味関心等に応じ専門分野であるか否かを問わず幅広く勉強すること」と定義付けています。

例えば私は医学系研究科の博士課程ですが、法学・政治学・経済学・言語学・数学・物理学という塩梅に色々な分野に手を出しています。学問的多様性を体現しているのです。

しかし、この学問的多様性、多くの大学生・大学院生は中々実践しておりません。

特に表題にある法学部・医学部は。

 

なぜ、法学部・医学部にはあまり学問的多様性がないのかにはしっかりと理由があります。

簡潔に言うといずれも進路にかかわるものです。

法学部の説明が分かりやすいと思うのでこちらをご説明します。

法学部の場合、進路として他学部と違い、法曹や公務員(教員ではなく官公庁勤め)の路線がとりやすいです。

もちろん法学部以外からもこれらの進路をとることは可能ですが、

試験科目をみると

国家総合職 行政法民法憲法行政学 マクロ経済・ミクロ経済 等

司法試験 行政法民法憲法・刑法・商法・民訴法・刑訴法 等

となっています。

つまり学部の授業で法律科目をやっている法学部生は他学部に比べて有利なのです。

次に、法学部のカリキュラムですが、各法律科目とも民法1つで2単位というわけではなく(内容が分厚いので)、民法は1部~4部まで4分割されていたり、刑法も1部・2部(総論・各論)で2分割されています。

そして大抵の大学では必修に民法1・2部、刑法1部など試験科目の一部が組み込まれています。

ここで公務員や法曹を目指す人は、選択科目としてほかの試験範囲になっている科目を取り、試験範囲外の法学系科目(例えば医事法・金商法や日本外交史や政治思想系)は単位数合わせに楽単のものを選び、試験勉強に邁進する、というのが僕の観測範囲では一般的でした。

法学部専門科目は実に多岐に渡ります。

政治学系、政治思想系、法制史、法哲学、さらに医事法などの公務員試験範囲外の法律分野など。

さらに当然、他学部の授業も個人の興味でとれるわけです。

それゆえ本来的には学生の数だけ異なる学問的背景をもった人物が大学から輩出されるはずなのです

しかし、実際には公務員試験・司法試験の効率重視の為に勉強の比重を試験範囲科目偏重になることが多く、学問分野が固定された人が量産されているのです。

私のいた東京大学ですら。

 

もちろん、将来進路を考えてそのような選択をとることも1つの戦略ではあると思います。

しかし万人が万人、同じ学問分野しか、しかも試験範囲に沿ってでしか勉強しないのはいかがなものでしょう。

 法学部の場合、医事法、医療政策、公共政策、財政学をやることで医療政策や医療法に関する知識を有した官僚、医療訴訟のできる弁護士になれますし、

国際法、宇宙法、資源に関する理系学部の専門分野を勉強することで資源交渉をする外務・経産官僚やエネルギー系の会社で活躍できますし、

環境法・環境に関する理系専門分野を勉強することで環境省や環境問題の会社や環境系訴訟の専門家にもなれるわけです。

試験科目だけ勉強して官公庁勤め・法曹になれても自分の強みがないと、組織の中で差別化を図ることができません。(筆記試験が圧倒的に高いとかならまだしも・・・って感じですがその手の人は大抵ほかの事も勉強してます。僕みたいに。)

 

 

視野を広げませんか?               医局より こずえ

 

 

物語の始点を考える~美少女ゲームを中心に~

ブログ自体を作ったのは去年の12月なのですがロクに記事を書かないまま7月を迎えました。

周りのオタクが何かしらブログを書いてるので僕もかくかーということでテーマを考えた結果、ママ論とか医学的な研究の話とか海外院の話とか色々あるのですが、最初は敢えて普段言及していないことについて書こうと思います。

長い付き合いの方はご存知だと思いますが僕は美少女ゲーム(婉曲表現)を3・4年前までやっておりました。それなりに。

で、美少女ゲームって創作物を考える上で重要な視点を与えてくれるのですね。

それが表題にある通り「物語の始点」です。

 

プレイヤーが美少女ゲームを始める前も(またゲームをクリアした後も)、ゲームにおける世界というのは続いているわけです。

自分の人生であれば物心ついたときから今に至るまで続いているのですが、創作物、しかも美少女ゲームの場合は主人公視点で話が進むわけで、途中から他者視点で問題なく話を進行するにはいくつかの工夫が必要になるわけですね。

ではどのような工夫があるのか、物語の始点の類別と共に見ていきましょう。

1、転校生を登場させるor主人公が転校生

(例 あかね色に染まる坂星空へ架かる橋) ※どっちもfengじゃんって自分で笑った

転校生というのはゲーム世界の舞台となる街において余所者です。

それゆえ、その街での人間関係というもの(場合によっては文化。これは美少女ゲーではないけど、ひぐらしのなく頃にのような独自の世界観)に関する知識が皆無で、この点がプレイヤーと同等な立場です。ここで友人ポジションなどが事情を簡潔に説明することで物語世界における話の継続性を無理なく成立させます。

 

さらに、ヒロインが転校生である場合、恋愛ゲーム的に話の展開がしやすくなります。

というのは、主人公の幼馴染をはじめとして以前から主人公の近くにいるが恋人関係ではないヒロインたちが外部からの刺激を受けて(ヒロインが主人公の許嫁とか主人公に好意を抱いているとかで、自分も一歩を踏み出さねばならないと焦ることが多い)、関係性を進展できるからです。

外部からの刺激、大事ですよね。

 

2、入学シーズンから始める

これは先ほどの、物語舞台における知識がゼロの転校生的役割を、新しく学校に入った後輩が担う形になります。

美少女ゲームの属性として後輩も一大勢力ですからね。

 

大きくこの2つが始点な感じしますが、理由はいずれも、物語世界における舞台知識がゼロであるキャラクターを登場させることでプレイヤーに無理なく世界観を理解させることにあると思います。

しかし、中にはこの2つ以外からの始点で始まるゲームもあります。

ダ・カーポⅡとかそうですね。あれクリスマスの少し前から始まって転校生もいませんし・・・

気が向いたらいつか、2類型以外の始点から始まるゲームを色々と考えて2類型との違いを主観的であれ述べようかと思います。

では。

 

                        医局から    こずえ